「会社全体では黒字なのに、なぜか手元にお金が残らない」という場合、工事単位で見ると赤字の工事が混在していることがあります。この記事では、工事別粗利の把握方法と赤字工事の見つけ方を解説します。
工事別粗利とは
粗利(粗利益)とは、売上から直接費(原価)を引いた利益です。
粗利 = 請負金額 − 工事原価(外注費+材料費+労務費+機械経費 等)
例:
- 請負金額:500万円
- 外注費:200万円 / 材料費:80万円 / 労務費:60万円 / その他:20万円
- 合計原価:360万円
- 粗利:140万円(粗利率28%)
この計算を工事ごとに行うことで、「どの工事が利益を出しているか」が分かります。
なぜ工事別に把握する必要があるのか
会社全体の損益だけを見ると、利益の出ている工事が赤字工事を補ってしまい、問題が見えにくくなります。
| 工事 | 請負金額 | 原価 | 粗利 | 粗利率 |
|---|---|---|---|---|
| A工事 | 300万円 | 180万円 | 120万円 | 40% |
| B工事 | 500万円 | 490万円 | 10万円 | 2% |
| C工事 | 200万円 | 230万円 | ▲30万円 | ▲15% |
| 合計 | 1,000万円 | 900万円 | 100万円 | 10% |
会社全体では粗利100万円(10%)ですが、C工事は赤字です。もしC工事がなければ粗利は130万円(13%)でした。
赤字工事が起きる典型パターン
① 見積もり段階の甘い積算 材料費の値上がりや手間の読み違いで、想定より原価が高くなるケースです。
② 追加工事の無償対応 「ついでにやっておいて」と頼まれた追加工事を無償で対応し、原価だけが増えるパターンです。追加工事は必ず追加請求の交渉をすることが基本です。
③ 工期延長による固定費の増加 工期が延びると仮設費・人件費・機械リース費が追加で発生します。見積もり段階の工期通りに完工できない場合、原価が膨らみます。
④ 外注費の想定外の増加 下請けへの発注金額が当初見積もりより高くなるケースです。急ぎの発注や職人不足の時期に発注すると割高になりがちです。
工事別粗利の管理方法
ステップ① 工事台帳を作る
工事ごとに以下を記録します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工事名・現場名 | 識別できる名称 |
| 請負金額 | 元請けへの請求額(税抜き) |
| 費目別原価 | 外注費・材料費・労務費・機械経費 等 |
| 完了日 | 工事完了日 |
| 粗利・粗利率 | 自動計算または手計算 |
ステップ② 工事中に原価の実績を記録する
工事が終わってから原価を集計するのでは遅く、工事中に随時記録します。外注費は発注時、材料費は仕入れ時に記録するのが基本です。
ステップ③ 粗利率の基準を設ける
「この工事は最低何%の粗利が必要か」を社内で基準として持っておくと、受注判断や交渉の基準になります。業種・工事規模によりますが、20〜30%を目安にしている事業者が多いです。
まとめ
工事別粗利の管理は、「会社全体の黒字に隠れた赤字工事」を早期に発見するための基本です。まずは工事ごとに請負金額・外注費・材料費・粗利を記録する台帳を作ることから始めましょう。赤字工事のパターンが見えてくると、見積もりの精度も上がっていきます。
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本記事は実務情報の提供を目的としたものです。個別の原価管理・会計処理については、税理士にご相談ください。
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